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2017.10.21 -
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用語集その4

2008.10.28 - 小説用語・設定集
前回に引き続き、『夜狗-YAKU-』の用語解説です。


・生体内金庫

生物の体の、ほんの少しの隙間を使って人工のスペースを作り、そこに武器や財産などを収容するというもの。ごくごく初歩的なインプラント技術で、例えば体に宝石を埋め込む資産家や脂肪の下にナイフを仕込むテロリストなどが、金庫を造って物品を収容する。ただし、このとき注意しなければならないのが密閉性が保たれていて、なおかつ他の器官を傷つけ無いこと。下手をすれば感染症を引き起こす原因にもなる。2040年の世界では、あまりに大きい収納スペースは隠し武器を秘匿する原因となるため、金庫の大きさは規定されたスペース以上は作れない。
ちなみに、腹部の肝臓の下のスペースを使えば男でも妊娠できる体にはなるらしい。誰もやらないだろうが。

・体内爆弾

生体分子機械の自己組織化を用いて、体の中にボトムアップ形式で爆弾を仕込む裏技術が“中間街”には存在する。外科手術なしで、生体分子機械が体内で爆弾を組み上げ、脳幹や延髄と言った箇所に設置する。また、爆弾ばかりでなく毒袋を神経に仕込んでいざと言うとき神経を焼くという脅しをかけることも可能。非人道的な兵器であるので、当然国連では禁止されている技術。人間でなくとも、動物に仕込むこともあるがヤクザたちは大抵、幼い子供に施して運び屋をやらせたりする。

・産学連携都市

学術機関と企業が結びついた、産業特別区域。政府のゲノム・プロジェクトは、ポストゲノムと産業利用による富の創造であり、そのためには研究機関と企業活動の連携が欠かせなかった。バイオ関連企業やナノテク企業を誘致し、金融機関が大学に研究資金を融通し、研究機関は企業とともにナノバイオ事業を推し進め、資本を生み出す。この産学連携都市で研究・開発を行う企業は国から補助金が支給される。静岡の富士山麓生命産業特別区域は、国内最大のナノバイオ関連連携都市である。元ネタは、静岡県東部に展開中の『ファルマバレー構想』であり、こちらの方はナノバイオというよりも創薬関連企業、研究機関が主。内容は似たような感じ。

・分子アセンブラ

分子を創造する機械である。生物の自己組織化とは、自らが分子を作り出す機能を持っている。これが細胞であり、細胞分裂などが自己組織化の最たるものである。が、人の手ではまだまだ分子その物を作り出すには大掛かりな機械が必要、ということで「蜘蛛の巣」状のアセンブリマシンを設定した。ちなみに、作中幸雄が言っていた、微細アセンブラを備えた「金属錯体を自己組織化によって生み出す人工細胞」というのが、何を隠そう(いや隠していないけど)が、『マシナリー・クリスマス』のリーシュ、および特殊機甲兵たちの体を造るものになる、という設定。同軸時間上という設定なので……いつかコウガの物語を(ry

・単分子刃

刃先が分子一つ分の厚さしかない、よってどんなものでも寸断する鋭利な刃物となる。いくら硬いボディーをもっていても、それは所詮分子が結合した物に過ぎず、単分子の刃先でその結合を切り離せば金属だろうとダイアモンドであろうと真っ二つになる。ただし、刃は極端に摩擦係数を下げるものでなければ、対象に刃が通らない。また、鋭利な分脆いという性質も持つ。

第四章より

・金鵄

ゴールデンバット。日本を代表する煙草。ショウキの吸っているのは、復刻版。フィルターがついていないので、葉っぱが口の中に入ってくるのが難点。

・学術都市

産学連携都市とちがい、こちらは研究者を育てるための都市。大学や研究機関などが密集しており、学生たちには快適な住環境を提供している。ただし、都市の外に出るには制約があり、そのせいで涼子の弟は“山猫”に囚われている状態にある。

・強化外骨格

電動アクチュエータ、人工筋肉などを用いた強化服。装甲や衣服として着用し、使用者の肉体以上の出力を出すようにするというもの。使用者の動作をフィードバックして、動くというもので、人工物による肉体強化という意味であれば、非侵襲型(肉体に直接手をくわえない)のサイボーグとも言える。
SF作品ではお馴染みのアイテム。「人狼」、「犬狼伝説」などのケルベロスサーガのプロテクト・ギアや、「攻殻機動隊」のアームスーツ、また「フルメタル・パニック」のアームスレイブもこの範疇に入る。現在でも、軍事方面、または介護方面でも開発されている。今回は生体分子モーターを利用した、パワードスーツと規定した。

第五章より


・パチンコ

この時代のパチンコは、賭博対象とされており禁止されている。都市内部にはカジノが設置され、パチンコは“中間街”で細々と行われる程度。ヤクザたちの資金源となっている。

・振動剣

高周波振動発生装置を刀剣に取りつけ、刃先を振動させることで切断力を増した剣。現実にも、医療分野で超音波振動メスなどに応用されている。疾人の刀は、振動で分子間力を引き剥がすというもの。単分子刃よりも高度な技術を要する。クナイは特別な加工はしていない。


第六章より

・多脚戦車

キャタピラ式の戦車というのは効率が悪く、また鈍重であるがため、高分子アクチュエータを備えた人工の脚を備えた戦車が戦場では主流となった。元ネタは「攻殻機動隊」のタチコマ。人間が搭乗するのはもちろん、AIによる自走戦闘も行う。



とまあ、おおよその用語の説明をのっけましたがいかがでしょうか? もし「この単語が分からない」というのがあれば、またご一報ください。それでは
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用語集その3

2008.10.25 - 小説用語・設定集
前回に引き続き、第二章の用語解説です。


・クローン

実際にクローンを造るには、ES細胞かiPS細胞を元にする。遺伝子技術によってクローン培養の食肉や植物の栽培を行い、先進国中最低水準だった食糧自給率を押し上げることにも成功する。ただし、クローン技術が適用されるのは動植物までであって、人間のクローンを生み出すことは生命倫理法で禁じられている。もっとも、再生医療が発達した2040年の世界でクローン人間を生み出すメリットはなく、法律で規制する必要性もない、という声があった。なお、生命倫理法ではクローン人間を生み出す行為を禁じているに留まり、実際に生み出されたあとの対策はなにも講じられていない。

・人権保護法

度重なる移民への差別問題を解消するために生まれた法律。人権を侵害すると思われる行為、発言などをした際は、人権委員会の査問にかけられて場合によっては逮捕・拘留される。元ネタは人権擁護法案。

・北方中華民連政府

通称、「北宋中華」。2025年の中華人民共和国崩壊に伴い生まれた、軍閥政府の一つ。国連から唯一、正式な中華政府と認められており、共和国とも国交を結んでいる。首都は開封、英語表記だと「North China」
漢民族による軍閥政府で、保守的な政策を執っている。明蘭の生まれ故郷、北京は現在は北宋中華の行政都市となっている。分裂中国には他に、江南政府、チベット独立戦線、ウィグル人民政府などの軍閥政府がある。共和国と江南政府は東シナ海の権益を巡って争っている。共和国に移住した移民たちのうち、60パーセントが北宋中華陣営の人間であり、国政にも大いに関わっている。

・択捉

択捉の民族戦線がロシア軍と衝突し、日本人の死者を多くだした。このことで共和国政府が軍を派遣したことから、択捉で内乱が勃発。2040年時点では小康状態であるが、いつまた再燃するかわからない状態。

・台湾

中国内乱により、独立を宣言した。米国とは国交を結んでいるが、共和国は正式に政府と認めていない。京都報国同盟に援助を行っている。

・光学迷彩

SF作品ではおなじみのガジェット。光量を調整して、対象を不可視化するというもの。方法としては1、光の屈折を捻じ曲げる、2、対象そのものを透明化させる、または3、カメレオンのように擬態させて周囲の環境に溶け込ませるなどの方法がある。今回は発光細菌を外壁に走らせて、周囲の光と同様の光量を発して周りに溶け込ませる3の方法をとった。現在でも光学迷彩は研究されており、イギリス軍が早くても2012年に光学迷彩搭載型の戦車を実践配備するという。

・短針銃

フレッチャー、ニードラーとも呼ばれる。銃弾ではなく、殺傷性の針を撃ちだす銃。普通は護身用であるが、加奈のものは通常タイプよりもマン・ストッピング・パワーの強い剛性のシリコン針と神経薬を内包した神経針を装備している。シリコン針100連発、神経針50連発のフルオート。ただし、生身の人間にしか効果がない。SF作品では空気射出タイプと電磁誘導タイプがあり、電磁誘導の方が威力は高い。が、2040年で電磁誘導型の銃が装備されているだろうかと考え、空気射出タイプにした。また、神経薬の他に水銀を内包した水銀針があり、涼子の短針銃には水銀針が装填される。

*最初の構想では、加奈は二挺拳銃遣いという設定でしたが、“特警”の人間がわざわざ非効率的な二挺拳銃を使うわけないと思い、この案は断念しました。が、二挺拳銃と言う設定が大好物なので、サブウェポンとして短針銃を持たせてみました。右にブローニング、左に短針銃……いいねえ(笑)

・九段暴動

天皇制の廃止とともに、東京九段で起こった暴動。靖国神社を焼き打ちしようとする政府とナショナリズム団体が衝突した事件。このとき、本庁勤務だった紫田と柳が邂逅し、以来2人は敵同士となる。この辺のエピソードは、需要があったらひっそりと載せようかと(笑) 多分、需要はないけど。

・オペレーションφ

“特警”のオペレーションの中でも、緊急事態に発動される。骨格、DNAなどのデータを元に、ネットから情報を収集して対象者の足取りを追うというもの。都市内の防犯カメラには骨格照合、車種照合機能がついており、市民の骨格のデータをネットから取得し、追跡することが可能。市民の骨格を取る、と言う行為はプライバシーの侵害になりうるのだが緊急の場合は許される。

・金属錯体

金属分子と化学種が配位結合して生まれた超分子。配位結合は、結合する一方の原子団をドナーとし、他方をアクセプターとして、ドナーからアクセプターへ孤立電子対を与えることで結合されること。蛋白質とシリコン分子を結合させて、新たな有機・無機連結型の超分子を組み込むことで身体強化を図っている、という設定。

・フラーレン、炭素クラスタ

代表的なナノ物質の1つ。炭素原子5個からなる五員環と6個からなる六員環によって、直径およそ1ナノメートルのケージ(籠)状の多面体を構成する。現在ではフラーレン、またはバッキーボールなどとよばれ、グラファイト、ダイアモンドに次ぐ安定した炭素同素体。

・臓器チップ

バイオチップの一つで、臓器の細胞をチップに固定して泳動させることで臓器と同じ機能を果たす。この臓器チップを集積させて、三次元的器官を造る。臓器丸ごと一つつくるよりも、有機物と臓器チップを連携させた集合体(クラスタ)を造るほうが現実的な再生医療とされている。生体素子集積体(バイオチップ・クラスタ)も同じものを指す。


次回は第三章についての解説をします。
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用語集その2

2008.10.24 - 小説用語・設定集
ようやく、ネットが復活しました。自宅からブログを書けるって、幸せですわい(笑)


前回に引き続き、『夜狗-YAKU-』の用語と設定資料を晒してみます。ネタバレ要素は、まあないと思いますが未読の方はご注意ください。


第一章より

・フェムトレーザー

フェムトとは数の単位、ナノが10のマイナス9乗ならば、フェムトは10のマイナス15乗という単位。千兆分の一秒というごくごく短い時間、レーザーを照射する技術。ガラス表面の、余計なところを傷つけずに加工できる。また、透明材料の3次元加工などにも用いられる。

・PDA

通信機器。携帯電話サイズの分子端末を腕に埋め込み、衛星通信を行う。ナノワイヤで網膜スクリーンと聴覚デバイスと連動させて、ネットと接続する。“特警”間では、暗号通信を行う。

・水素燃料車

水素を燃焼させることでエンジンを動かす。水素と酸素を結合させることで生まれる爆発力を生み出し、排出するのは水だけというクリーンエネルギー。マツダなど、実験的に水素カーを導入している企業も存在している。現在は水素ガスそのものを補充するほう方が一般的だが、近い将来は水素発生菌を搭載して、水素を生み出しながら走行する燃料電池車が普及するのではと考えられる。

*今回は、ソーラーエネルギーと水素燃料電池の両方を使用するハイブリットカーを設定しました。

・多層型建築物

既にある建築物をまたいで土台を築き、その上に建築物を建てる工法の建築物のこと。土地不足を解消するために、“中間街”では“蟻塚”、都市では企業ビルと共同住宅などに応用されている。

・骨格照合

X線で頭蓋骨と顎の骨格をスキャンして、頭蓋骨の輪郭、歯並びのデータを本人と照合する。静脈と網膜と並び、現在でも犯罪捜査に使われている。

・対機甲弾

弾頭に生体分子機械の自己組織化機能を用いて、アジ化ナトリウム爆薬を導入したもの。炸裂弾、または単に機甲弾とも言われる。

*ギフト企画参加小説、『マシナリー・クリスマス』で出てきたものと同じ弾頭という設定です。マシナリと夜狗は同一時間軸上に存在する世界(攻殻とアップルシードみたいな関係)しています。この更に60年後に、自然固有主義者が『機甲大戦』という戦いを機械陣営(つまり加奈のような人間)に挑み、敗れた世界がマシナリの世界だったりします。22世紀には、対機甲弾は時代遅れとなりつつあるが、生身の人間にとっては未だに貴重な戦力です。いつかコウガの戦いも描きたいなあ……

・移民法、外国人参政権

少子化対策、労働力の確保のために近隣諸国から移民受け入れを、2013年ごろから始める。さらに、移民たちの意向も反映すべく外国人も国政に参加で切るようにしたのが外国人参政権の賦与。しかし、これは同時にナショナリズムの台頭を許すことになった。日本人と外国人との軋轢も生まれ、外国人による犯罪も増えることとなる。2025年に中国で内乱が起こると、中国系移民を多く受け入れた共和国にも内乱の火種が及ぶことになった。現在でも、国会で審議されている。

・iPS細胞

万能細胞とも呼ばれる。京都大学の山中教授らのグループによって世界で初めて作られたのは記憶に新しい。ES細胞と同じく、体のあらゆる細胞に分化する能力を秘めているが、ES細胞がヒトの胚を使うことで倫理的問題が指摘されているのに対し、このiPS細胞は患者の皮膚から採取した細胞を、特定の3因子をレトロウイルスを使って導入することで造られる。倫理的問題もクリアした、再生医療の新たなツールとして注目されている。ただし、これでクローンが造れるかは不明。多分できるだろうということで、鈴たち“幸福な子供たち”をこの細胞から生まれたクローンベイビーということにした。なお、執筆中にiPS細胞を「ウィルスなしで因子を導入する」という方法が生み出されたと知り、愕然としましたw

・動的均衡

ダイナミック・イクイリブリアムと呼ばれる。生物の体は、すさまじい速度で蛋白質の合成、代謝が行われている。皮膚の表面を、分子が壊れて再生してを繰り返し、エントロピーの増大則のままに分子の交換が行われている。しかし、外形を崩すことは無く、常に一定の器を保っている。こうした絶妙なバランスを動的均衡と呼ぶ。この均衡が保たれなくなったとき、生命は死を迎える。

・電気銃(テイザー)

SF作品では一般的な武器。ショックガンとも訳される。SFのみならず、現在でも同様の武器は存在する。既製品はワイヤーを飛ばして、そのワイヤーから電流を伝える方法が一般的だが、ショウキの電気銃は電気を溜め込んだ針を飛ばすことで感電させるという方法を取っている。

・ドラッグ・デリバリー・マシン

薬物配送システム。DDSと略される。薬物を幹部へ確実に届け、副作用の少ない効率的薬物治療を行う。明蘭の場合、さらにコラーゲンを導入して若々しい体を保っている。鞭毛モーターを用いた生体分子機械は、蛋白質由来なため、マシンそのものに害はない。

・プロテインマシン

蛋白質を合成し、それを筋肉や皮膚に導入することで肉体の衰えを防ぐ。また、筋肉量を増やすことでトレーニングなしで筋肉肥大をさせることも可能。

・DNAシークエンシング

DNAの配列を決定付けること。塩基配列決定、塩基配列解読ともいう。人間のDNAは、A、C、T、G という4種類の塩基で構成されている。DNA断片を電気泳動にかけて解析し、元の塩基配列を復元する。遺伝子診断やそれを基にしたオーダーメイド治療に用いられる。

・キメラ

2種類以上のDNAを保有する固体のことを言う。ライオンの頭と山羊の胴体、の尻尾を持つ、ギリシャ神話の化け物からその名がつけられた。SF作品では良く、ヒトと動物の融合種のようなものが生み出されるが、ヒトのキメラというと血液細胞が2種類ある血液キメラが一般的で、DNA鎖が2種類以上というヒトキメラは、世界中でも確認されたのは一例しかいない。ただし、1つの胚に複数の遺伝子を人為的に組み込んだモザイク胚が昨今、研究されている。もしそれがヒトの胚で行われたら……現在は、ヒトモザイク胚は倫理的に問題があるとして、「ヒトに関するクローン技術等の規制に関する法律」で規制されているが、この法律はモザイクを造ることは禁止しておらず、それを子宮に戻すのを禁じているだけという、なんとも曖昧な法律である。

・自然状態

社会契約説を論じるときに過程される、政治体を構成しないバラバラの人間達が生むであろう、人間間の様子。トマス・ホッブズは著書『リヴァイアサン』の中で、自然状態は「万人の万人に対する闘争」と説き、その状態を収めるため、国王なり国家などの絶対的支配者=リヴァイアサンに個人の権利を預けるべきであるとした。要するに、上からの圧制で人民を押さえつけようという思想だが、絶対王政を肯定する説なので現在は支持されない。ただ、“中間街”の構造がホッブズ型の「自然状態」であるということをいいたいがために出した。お茶目な僕ちゃんを許して。

・悪徳都市(バビロン)

ウィリアム・ギブソンの『ニューロマンサー』のオマージュ。読んで字の如く。


次回は第二章について、説明します。
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用語集その1

2008.10.20 - 小説用語・設定集
この日記は空想科学祭出展作『夜狗-YAKU-』の用語の解説、設定資料をさらすものであります。特にネタバレ要素は含みません。今回のネタは、ナノバイオテクノロジーに基づいて科学技術設定を作りました。私自身も不勉強ゆえ、少々、疑似科学も混ざっていますが、そこは目をつぶってくださいまし。


第零章より


「環境建築(アーコロジー)」

簡単に言えば、生産と消費が自己完結している建物、または都市のことを言う。通常は高い人口密度でもって、住人を内包する建造物、またはそうした建造物郡の都市などで、そこに社会的資源を集中させることで資源の節約を図り、都市スペースを集約することで環境の維持を図るというもの。

今作では、首都横浜市のほかに行政都市、産学連携都市、学術都市を設定。いずれも、都市のエネルギーをバイオ燃料や太陽光発電で生み出し、都市に分配される。また、生活排水などはバイオマス、バイオマテリアルといったクリーンエネルギーと有機素材に再利用され、循環型の都市を作り出しているという設定。都市間の流通はあるが、ほとんどが都市の内部で生み出され、消費され、分解される。

「分子モーター」

生体分子モーター、高分子アクチュエータとも表記される。コイルを用いた電動機ではなく、生物がもつ運動タンパク質のことを指す。筋肉の収縮を引き起こすミオシンやアクチン、神経物質の伝達を行うキネシンやダイニンなどをさす。また、微生物の持つ「鞭毛モーター」を利用したドラッグ・デリバリー・マシンは外科的手術に頼ることなく、薬剤を体内に送り込むシステム。エネルギーはATPと呼ばれる化学物質を用いる。

今回は“ハチドリ”他、強化外骨格や戦車に分子モーターが使われているという設定。いわゆる「人工筋肉」に近いものというイメージ。回転ローターや電動機に比べると、エネルギー効率が良い。ただし、分子モーターの収縮音は相当煩いという設定にしたため、第一話で加奈は「煩くてかなわん」といっている。

「磁性細菌」

磁性を帯びた細菌であるが、とくに名称は問題ではなく、遺伝子組み換えを成された環境修復細菌という設定。現実にも有機物、重金属の分解・除去を細菌や微生物に行わせる「バイオレメディエーション」技術が研究、実践されている。

「ELディスプレイ」

半導体に電荷を加えて発行させる、「エレクトロルミネセンス」という現象を用いたディスプレイ。有機ELなど、現在でも用いられつつある。

「DNAコンピュータ」

従来型のコンピュータと違い、DNAをデバイスとして用いるコンピュータ。分子コンピュータ、塩基コンピュータと呼び方は様々。DNAを構成する塩基、A,T,G,C という4文字の塩基配列によってプログラムされ、そのプログラムは自己組織化によって成される。従来型と違い、超並列処理が可能とされる。また、素子と素子の配線を廃したコンピュータのひとつとされ、小型化も可能。本作では、都市に生きる人間は左腕に、PDAとバイオセンサー機能を持つ分子端末を埋め込んでいるという設定。

*脳にデバイスを埋め込むという方法が既存のサイバーパンク作品では一般的で、最初はそうしようかと考えました。ただ、ナノバイオテクノロジーの目指すところは「非侵襲、または低侵襲型」のサイバー機器開発、という話を聞いたので、比較的安全な腕に埋め込ませました。

「バイオセンサー」

生体由来の、分子認識機能を利用した測定装置のこと。分子端末に埋め込み、体内の環境をチェックするという設定。血流、脈拍、生体内の不純物および特定腫瘍の因子の発見、恒常性を保つのに一役買っている。また、こうしたバイオセンサーは病気の早期発見を促すものであり、癌マーカーなどにより病気の発現を防いでいる。軍事用になると、さらにメンタル状態もチェックする。現在でも本人の生体、遺伝子を利用したバイオチップを用いて、病気の診断などを行うオーダーメイド医療が期待されている。

「ナノカメラ」

元々はマイクル・クライトンの「プレイ」から得たアイディア。空中泳動型のナノマシンの一つ一つがカメラなのではなく、複数のナノマシンの集合体がカメラの機能を持つように配列されることで映像を捉えることができる。生体反応を得る、というのはほとんど後付け設定。

「網膜スクリーン」

もともとは眼球内にある神経組織を模した映像デバイスであるが、それを、人間の眼球にフィードバック(還元)させることで、電子機器とのリンクを果たした。PDAと接続することで、インターネットの映像を直に閲覧し、また軍事衛星とリンクしてGPS画面を投影させる。網膜は低電圧でしかも高速に映像を処理することができるが、生体外ではまだまだELディスプレイが主流である。


「遺伝子導入」

トランスジェニックとも。元々、胚の段階で外部から遺伝子を導入し、好きなように遺伝子をいじるというものだった。デザイナーズ・ベイビーといい、現在でも倫理的問題が指摘されている。胚から完全な生体になったあと、遺伝子を導入することは難しいが、バイオナノマシンを用いることで成長した個体にも遺伝子を導入する技術が研究されている。DNAを一旦、RNAに翻訳し、バイオナノマシンで任意の場所に送り込み本人のDNAに組み込む。遺伝病などの治療に用いられるが、人体改造として、たとえば皮膚の一部を爬虫類のものにしたい場合は蛇やトカゲのDNAをRNAに変換し、任意の場所に送り込む。DNAを改変すれば、ヒトの肌を爬虫類のそれにすることができる、というもの。


「ナノワイヤ」

その名のとおり、ナノサイズのワイヤ。金属素材のほかに、半導体やDNAを素材とするものもある。今回は皮膚の下に走らせることで、端末や埋め込み機器を同調させるとともに神経伝達物質をワイヤ上に走らせることで神経を強化させるという設定にした。


その他:「サムライ」という言葉は、ウィリアム・ギブソンの「ニューロマンサー」から拝借いたしました。



とりあえず、第零章はそんな感じです。次回は第一章の用語、設定資料の解説を行います。

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