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用語集その4

2008.10.28 - 小説用語・設定集
前回に引き続き、『夜狗-YAKU-』の用語解説です。


・生体内金庫

生物の体の、ほんの少しの隙間を使って人工のスペースを作り、そこに武器や財産などを収容するというもの。ごくごく初歩的なインプラント技術で、例えば体に宝石を埋め込む資産家や脂肪の下にナイフを仕込むテロリストなどが、金庫を造って物品を収容する。ただし、このとき注意しなければならないのが密閉性が保たれていて、なおかつ他の器官を傷つけ無いこと。下手をすれば感染症を引き起こす原因にもなる。2040年の世界では、あまりに大きい収納スペースは隠し武器を秘匿する原因となるため、金庫の大きさは規定されたスペース以上は作れない。
ちなみに、腹部の肝臓の下のスペースを使えば男でも妊娠できる体にはなるらしい。誰もやらないだろうが。

・体内爆弾

生体分子機械の自己組織化を用いて、体の中にボトムアップ形式で爆弾を仕込む裏技術が“中間街”には存在する。外科手術なしで、生体分子機械が体内で爆弾を組み上げ、脳幹や延髄と言った箇所に設置する。また、爆弾ばかりでなく毒袋を神経に仕込んでいざと言うとき神経を焼くという脅しをかけることも可能。非人道的な兵器であるので、当然国連では禁止されている技術。人間でなくとも、動物に仕込むこともあるがヤクザたちは大抵、幼い子供に施して運び屋をやらせたりする。

・産学連携都市

学術機関と企業が結びついた、産業特別区域。政府のゲノム・プロジェクトは、ポストゲノムと産業利用による富の創造であり、そのためには研究機関と企業活動の連携が欠かせなかった。バイオ関連企業やナノテク企業を誘致し、金融機関が大学に研究資金を融通し、研究機関は企業とともにナノバイオ事業を推し進め、資本を生み出す。この産学連携都市で研究・開発を行う企業は国から補助金が支給される。静岡の富士山麓生命産業特別区域は、国内最大のナノバイオ関連連携都市である。元ネタは、静岡県東部に展開中の『ファルマバレー構想』であり、こちらの方はナノバイオというよりも創薬関連企業、研究機関が主。内容は似たような感じ。

・分子アセンブラ

分子を創造する機械である。生物の自己組織化とは、自らが分子を作り出す機能を持っている。これが細胞であり、細胞分裂などが自己組織化の最たるものである。が、人の手ではまだまだ分子その物を作り出すには大掛かりな機械が必要、ということで「蜘蛛の巣」状のアセンブリマシンを設定した。ちなみに、作中幸雄が言っていた、微細アセンブラを備えた「金属錯体を自己組織化によって生み出す人工細胞」というのが、何を隠そう(いや隠していないけど)が、『マシナリー・クリスマス』のリーシュ、および特殊機甲兵たちの体を造るものになる、という設定。同軸時間上という設定なので……いつかコウガの物語を(ry

・単分子刃

刃先が分子一つ分の厚さしかない、よってどんなものでも寸断する鋭利な刃物となる。いくら硬いボディーをもっていても、それは所詮分子が結合した物に過ぎず、単分子の刃先でその結合を切り離せば金属だろうとダイアモンドであろうと真っ二つになる。ただし、刃は極端に摩擦係数を下げるものでなければ、対象に刃が通らない。また、鋭利な分脆いという性質も持つ。

第四章より

・金鵄

ゴールデンバット。日本を代表する煙草。ショウキの吸っているのは、復刻版。フィルターがついていないので、葉っぱが口の中に入ってくるのが難点。

・学術都市

産学連携都市とちがい、こちらは研究者を育てるための都市。大学や研究機関などが密集しており、学生たちには快適な住環境を提供している。ただし、都市の外に出るには制約があり、そのせいで涼子の弟は“山猫”に囚われている状態にある。

・強化外骨格

電動アクチュエータ、人工筋肉などを用いた強化服。装甲や衣服として着用し、使用者の肉体以上の出力を出すようにするというもの。使用者の動作をフィードバックして、動くというもので、人工物による肉体強化という意味であれば、非侵襲型(肉体に直接手をくわえない)のサイボーグとも言える。
SF作品ではお馴染みのアイテム。「人狼」、「犬狼伝説」などのケルベロスサーガのプロテクト・ギアや、「攻殻機動隊」のアームスーツ、また「フルメタル・パニック」のアームスレイブもこの範疇に入る。現在でも、軍事方面、または介護方面でも開発されている。今回は生体分子モーターを利用した、パワードスーツと規定した。

第五章より


・パチンコ

この時代のパチンコは、賭博対象とされており禁止されている。都市内部にはカジノが設置され、パチンコは“中間街”で細々と行われる程度。ヤクザたちの資金源となっている。

・振動剣

高周波振動発生装置を刀剣に取りつけ、刃先を振動させることで切断力を増した剣。現実にも、医療分野で超音波振動メスなどに応用されている。疾人の刀は、振動で分子間力を引き剥がすというもの。単分子刃よりも高度な技術を要する。クナイは特別な加工はしていない。


第六章より

・多脚戦車

キャタピラ式の戦車というのは効率が悪く、また鈍重であるがため、高分子アクチュエータを備えた人工の脚を備えた戦車が戦場では主流となった。元ネタは「攻殻機動隊」のタチコマ。人間が搭乗するのはもちろん、AIによる自走戦闘も行う。



とまあ、おおよその用語の説明をのっけましたがいかがでしょうか? もし「この単語が分からない」というのがあれば、またご一報ください。それでは
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