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第七回武術談義:間合いの妙

2008.11.24 - 武術・武道
これまた久しぶりな武術談義、第七回は間合いについてです。

武道同盟の会員も増えて、武器や徒手、あらゆる戦闘のシチュエーションについて考えるようになりました。そこで、今回は間合いについて。

まず、間合いというものですがこれは簡単にいえば彼我の距離を言います。が、武道における間合いはもっと特別な意味を持ちます。剣道を例にとれば、間合いというものは3段階あります。「遠間」、「一足一刀の間」、そして「近間」と。遠間とは、互いの剣先がかなり離れた状態でこれは一歩も二歩も歩を詰めないと打てない距離です。試合は大体、遠間から始まります。一足一刀の間とは、一歩踏み込めば互いに打てるという距離です。互いの剣先が触れ合った状態を言います。そして近間とは、手を出せば打てるという距離。この状態にまで近づくと、自分も打てるが相手からも打たれやすいという非常に危険な位置です。間合いは詰めれば、自分も攻撃しやすくなるがその分打たれやすくなる、だから不用意に間合いを詰めることは危険なのです。

拙作「監獄街」では、間合いを「領土」と例えました。己の攻撃が及ぶ範囲であり、かつ踏み込まれたら命に関わる生命線であると。これは自分のオリジナルではなく、国士舘大学剣道部の馬場欣司先生のお言葉でもあります。「相手の間合いに踏み込むことは敵陣に踏み込むことと同じことであり、不用意に攻め込むことは地雷原に足を踏み込むことでもあり、自殺行為」と述べております(『剣道 伝統の技術』 スキージャーナル より)
間合いの攻防とは、この陣地に踏み込むか否か、どうやって地雷を避けて核心を討てるかというこのせめぎ合いが主で、いわば陣取りのようなものです。お互いに、自分の間合いに入らせずに、なおかつ相手の間合いに踏み込む機会を伺う。上級者になればなるほど、この間合いの攻防を重視した戦いになります。7段、8段クラスになると間合いの探り合いだけで試合が終る、なんてことも普通にあります。間合いの内側に入り込まれたら、すなわち死を表すとされるのでそりゃ必死になりますね。

それでこの各人が持つ間合いは、持っている武器や装備によって変化します。刀の間合いと槍の間合い、どちらが広いかと問われるとどちらが有利か、明白ですね。一般に、間合いを広くとれる武器が戦争ではよく使われます。戦国期、日本刀はあまり合戦で使われなかったといわれています。まず弓矢、鉄砲で互いに撃ち合い、槍で特攻するという感じだったそうで。近代だったら銃、そしてミサイルと遠戦思想なのは今も昔も変わらないかもしれません。ただし、例えば手元に刀しかなくて目の前に槍持った敵がいる、または武器は何も無いのに武器持った相手と戦わなければならない、なんて場面は少なからずあったことでしょう。そんな場合はどうするか、次で考察したいと思います。

まあ、長物の武器と戦うときはどうするかといわれたとき、一番有効なのは懐に飛び込むということですね。槍だったら、一番危険なのは槍の穂先、刃部なのですから。その攻撃が及ばないところは、懐しかないわけです。ただ、先に述べたように相手の間合いに踏み込むことは地雷原に足を踏み入れることですから、危険極まりない。相手もさるもの、槍の操作に長けているわけですから少しでも動いたら串刺しでしょう。前に飛び込んで間合いを潰す、ということはなかなか難しいものです。剣道の選手が薙刀になかなか勝てないのも、この辺の理由があります。

まず、槍を相手に横に動いてはいけないとされます。横に動くことは、相手も眼で追いやすい。ゆえに、隙も出来易いということです。続いて、後ろに下がってもいつかはドン詰まりになりますからね。長物を相手にしたら、前に進むより他ない。ではどうするか。
ここで、中国拳法に目を移してみたいと思います。中国拳法といっても、武器や徒手、外家拳や内家拳いろいろありますが、私が読んだ文献のなかで特に、長物に対する技が載っていた八極拳の槍術から。写真載せられればいいのですが、無断転載になりますので文章のみで。

槍は点の攻撃、剣は線の攻撃と称されます。槍の点撃を、剣先で槍の穂先を制しつつ槍の柄の部分に刃を滑らせて切っ先をかわし、懐に入る。

はい、終了。

わかりにくいですか? ではこれは実際にやってもらった方がいいかもしれません。相手に棒を持ってもらい、自分はなにか新聞紙のようなものを丸めて模擬剣を作ってみてください。相手が突き刺す先端と切っ先を合わせ、そのまま新聞紙で中心に割って入るように踏み込みます。棒の部分に、新聞紙の模擬剣を滑らせるようにする。と、相手の棒の切っ先がそれて自分の剣が相手の喉下に到達することができる。このように、長物にはまず①接触し、②切っ先を封じたまま、③相手の正中線に剣を滑り込ませる。この動きです。ちなみに正中線とは、人体の真ん中を通る線のことを言います。この正中線を取りつつ、間合いに入り込めば己の剣が中心につけ、相手の剣は外れるという寸法です。

さらに、中国拳法では、特に棍術などに「螺旋の動き」というものがあります。これは③の段階で、剣、あるいは棍を螺旋状に回して相手の切っ先を完全に封じ込めるというものです。これは素手の体系にも生かされています。カンフー映画などの手技で、相手の突きを逸らして回しこむような描写があると思いますが、あのように突きを逸らし、絡めとって腕を極めるという技は、まさに武器が素手に生かされているというものです。ちなみに、合気道の短刀取りなんかでも同じように①相手の腕に接触②そのまま相手の腕に、己の手を密着させて封じ③相手の中心に割って入り、腕を極める という体系になっています。この技は、突いたらすぐに腕を引っ込めるボクシングのような格闘技には通じませんが、相手が武器、例えばナイフなどを持っている場合は有効です。ただし、専門の道場で訓練を受ける必要はありますが。

このように、相手の武器、あるいは体格の差で生じる間合いの違いを埋めるには相手の中心に割って入るように飛び込む、ということでしょう。もっとも、そんなテクニックよりも気合だけで退けてしまう技もありますがね。当流には、小太刀を持ったまま、気当たりだけで太刀の剣を下げさせる、なんて形があります。そこまでくるともはや達人としか……

次回は、先日出た対銃火器戦闘についてもう少し深く考察したいと思います。それと、卯月さんと議論した「蹴り技」についての考察もやりたいと思っていますので、早村さん教えてください(笑)
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Comment

無題 - タツロウ

 いろいろ参加できなくて申し訳ないです。もすこししたらバリバリ参加しまくりたいと思いますんで、しばしお待ちを。

 槍を相手に剣でやり合うには、相手の三倍の技量を持っている必要があるとの事ですが。異種試合なんかでも、剣道の上段者ですら、薙刀の上段者には形無しですもんね。特に『臑』への打突がくせもんで、約10秒で瞬殺なんてのも。勝ち目ないけど、一辺くらいやってみたいもんです。

 槍の中心線云々は、確か『るろうに剣心』の四巻で描かれてたような気もします。とても出来そうにないですけど……。でも実際、剣道で突きをかわす時ったら、中心線抑えて、ですもんね。むしろ螺旋運動の方が難しいかも。あ、でもそれだって相手の剣先を外すときに使うし。

 徒手空拳の方も時間が出来次第、少しづつやろうかなと思ったりもしてます。足さばきや力の伝導なんか、いろいろ参考になりそうですし。そん時はいろいろアドバイスよろしくです。
2008.11.24 Mon 17:11 [ Edit ]

2001年コメレスの旅 - 俊衛門

>龍にぃ
誰だよ、という突っ込みはなしのほうこ(ry

どうもどうも、いや勉強が第一ですからね。無理なさらずに。薙刀、確かにあれは脅威ですね。でも、京都大会では剣道vs薙刀の異種試合も組まれてましてね。剣道側が薙刀に勝利する試合なんかもありまして、やはり間合いをつめて打っていました。臑に対しては竹刀を下げる、または足で踏みつけるなんて対策があった気が。実際やってみないことには何ともいえませんが。

槍の話、るろ剣にありましたっけ? よく覚えていないです。荒唐無稽でしたけど、あれも結構武術的考証がなされていましたね。螺旋の動きは、中国拳法でいう「化勁」という技に応用されています。拙作にも出てきますのでご確(ry

失礼、最近こればっかだなw 徒手空拳は、柔道と合気道をそれぞれかじった程度なんでなんもアドバイスなんかできませんよ。最近は中国拳法、特に少林拳に興味があります。
2008.11.25 Tue 02:45 URL [ Edit ]
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