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コラボ小説

2009.02.22 - 小説
パソコンがいかれて、仕事にならないー……

なんか放熱ファンからずっと異音がなっとります、俊衛門です。全然関係ないけど。

以前、勝手に書かせていただいたコラボ小説、第二弾を早村さんが書いてくれましたよ。

今度のカードはコウvs加奈、なかなかに異色な取り合わせですね。どうなることか。

以下、テンプレ

【ルール】

・魔法、テクノロジーなどの特殊な能力は度外視し、肉弾戦のみを描写する。

・舞台は基本的に書き手の判断で決める。ただし、どちらかが極端に有利になったり、極端に不利になるような舞台設定は避ける。


【使用キャラクター】

◆俊衛門サイド

・キャラ名:晴嵐加奈   
・出演作:『夜狗-YAKU-』 俊衛門 作
・使用武器:ブローニング拳銃、単分子ナイフ
・武術:合気道ベースの軍隊格闘術


◆早村さんサイド

・キャラ名:高原晃 (コウ=タカハラ)
・出演作:『閉ざされた虚構の不協和音』  早村友裕 作
・使用武器:特に武器名の無いいろいろ切断できる鋭利なワイヤーらしきもの
・武術:殴打系の格闘技 (ぇ?


では続きでどうぞ

たまたま通り道にと差し掛かった中間街(セントラル)で建物の隙間に着地したコウは、瞬間、人影を視界に捕えて眉を潜めた。
 一応、気配がない事を確認したつもりだったが……最悪だ。
 この場所において、話し合いを求めることは不可能。
 足元の地面に銃弾が弾けて、コウはワイヤーを瞬時に張り巡らせた。
 迎撃準備完了、敵を視認する。
「……晴嵐加奈(せいらんかな)
 思わず口から零れた名は、相棒のセイから聞いたものだった。
 狭い路地に佇む女性の姿に見覚えはなかったが……『中間街(セントラル)』で面白いヤツに会ったと相棒が嬉しそうに笑っていたのはつい先日の話だ。
 相棒の戯言などいつもの事だと完全に聞き流していたのだが、まさか自分が遭遇しようとは全く思っていなかった。
「わたしを知ってるのか。あんたどこの組織についたサムライだ?」
「サムライ? 違いますよ、セイに聞きました。彼はボクの相棒です」
「セイ? ああ……あのガキか。漆黒の永久灰燼(ジ・エンド)、セイ=オルディナンテ。その髪色でそんな目の色は珍しいもんだから、ついサムライと違えた」
 不機嫌そうな表情で返答した女性は、確かに相棒がコウに告げた容姿と酷似していた。
「覚えていて下さったんですね、きっとセイも喜びますよ」
 高い位置で括った栗色の髪、鋭利さとほんの少しの悲哀を秘めた瞳、そして(ブローニング)――話から想像していた通り、鋭い空気を纏った女性だ。
 あんのくそガキ、とか呟きながら、その女性の機嫌がみるみる悪くなっていくのが分かる。
 大方、相棒(セイ)が挑発したんだろう。
 その様子が安易に想像出来てしまって、思わずため息をついた。
「で? その態勢……ってことは、あんたもヤるのかい?」
 できる事なら争いたくない、と言おうとしたのだが、コウの中で珍しく好奇心が動いた。そんな感情、最初から持っていないと思っていたというのに。
 なぜだろう、戦ってみたい気がしたのだ。
 先にセイと会っているのなら、話は早いだろう。
「退屈していたんです。お相手してくださいますか?」
 戦闘に理由は要らないのだから。



 らしくない。
 無表情の裏で、コウは自分自身に問いかける。
 なぜ、わざわざ彼女に挑んだ? 噛みつくような彼女の空気に呑まれたからか? それとも――
「あんた達はいつも退屈なんだな、うらやましい限りだよ。だがあんた、あいつと違って礼儀正しそうだな」
「……気のせいですよ」
「そうか、残念だ」
 晴嵐加奈、という女性は引き金にかかる指に力を込めた。
 セイの情報によれば加奈の武器はこの銃とナイフで、さらに合気道に近い格闘術を使うという事だ。それも、セイと引き分けるほどの実力者。
 気は、抜けない。
 焦ったがそれを表情に出す事はしなかった。いつも通り、赤い瞳に感情は映さない。
「せっかくだから名前聞いといてやるよ、赤目少年――それ、自前か? それとも、手術でもしたのか?」
「自前ですよ。それと、あんまり名乗るのは好きじゃないんですが……ボクだけがキミの名前を知っているのは不公平ですね。ボクは紅緋の消失領域(ポータブル・イヴィル)――高原晃(たかはらこう)
「わたしは……いいか、もう知ってたな」
 銃口がこちらを向いている。
 加奈が立っているのはコウのワイヤーの射程圏外、完全に不利だ。
 が、銃相手の戦闘はセイとの組み手で慣れている。
「ええ、よく知っていますよ。相棒(セイ)に嫌というほど聞かされましたから」
 引き金に掛けられた加奈の指が動く瞬間、コウは左足で強く地を蹴った。じゃらり、と身につけた鎖が重い音を鳴らす。
 一瞬前まで自分がいた空間を弾道が通り過ぎていくのが分かった。間一髪だが、命中しない事が重要、一気に間合いを詰める。
 ワイヤーぎりぎりの射程範囲まで近づき、指先に神経を集中した。
「……浅い」
 ぽつり、と呟いたコウの視線の先で、加奈の左腕に赤いラインが走る。心臓を狙ってそれた銃弾は、コウの左腕をかすめていった。
 初めて見る者に、コウのワイヤーは視認できないはずだ。
 ところが、目に見えぬ武器で突然傷をつけられた事で一旦退くかと思いきや、加奈は真っ直ぐに突っ込んできた。
 虚を突かれてひるんだコウの隙をついて間合いを詰めた彼女は、銃を納めてナイフを抜く。甲高い金属音が響き、防御に残していたワイヤーが切断された。
 この武器を育て主のシンに与えられてから初めての経験だった。視認できない、破壊できないはずの武器がナイフで切断された――加奈の技術なのか、それとも特殊な武器なのか。
 それでも、指先のわずかな動きで、加奈が突っ込んでくる方向へワイヤーを集める。そのまま突っ込めば、自らの力で切り刻まれ、無残な姿をさらしてしまう。
 しかし、わずかな空気の流れから何かを感じたのか、加奈は一瞬動きを止める。
 それは命のやり取りの中では大きな一瞬だ。
「甘いですよ」
 加奈の周囲に見えぬワイヤーを巡らせる。動きを止めるように、周囲を取り巻く。獲物を捕えるために張り巡らせた蜘蛛の網のように。
 後は、指を少し引くだけで加奈の体がスライスされるはずだった。
 が。
「?!」
 加奈はすべてのワイヤーを避け、上に大きく跳躍した。
 目標を失った銀のラインは互いに衝突し、上から差し込んだ光を反射して微かに煌めいた。そう簡単に見破られるはずはないのだが、戦闘的に勘の鋭い彼女にはすでに攻撃が見えているらしい。
 視認されてしまった武器は、威力が半減する――コウは刹那に判断し棘腕輪(スパイクバングル)にすべて収納して、接近戦に持ち込んだ。
 飛び上がった加奈の着地の瞬間を狙って拳を繰り出す。
 が、それは予測していたのだろう、軽くいなされて肘を捕えられる。
 やばい、と思ったのは一瞬、大きく宙に放り出されていた。
 細身の女性とは思えない力で、いや、力ではなく技術で投げ飛ばされたコウは、そのまま壁に叩きつけられた。全身を強く打ちつけて呼吸が止まる。
 何とか意識は持ちこたえたが、全身が痺れている。
 こめかみを狙って飛んできたナイフを、重力に逆らわずしゃがみ込んで避けた。
 そのまま加奈の細身の胴部を狙い下から蹴りあげる。
「……がっ」
 短い悲鳴で吹き飛んだ加奈を追って、地を蹴った。
 体勢を立て直され刃が飛んできたが、掌底で軌道を変え、すれ違いざま脇腹に肘で殴打を叩き込む。
 反転、蹴り出した足は避けられ、追撃に繰り出した裏拳を加奈が抱え込むように受け止めた。
 やばい、これではさっきと同じだ――視界が反転して建物の隙間から明るい光が差し込んでいるのが見えた。やけにゆっくりとした一瞬の後、息が止まりそうなほどの衝撃が背筋を貫く。
 しかしながら、この間合いは好機。
 右手首からワイヤーを伸ばし、相手の首に巻きつけた。
 拘束しようと乗りかかってきた敵の腹部にカウンターで膝をたたき込み、上下逆転。地面に縫い付ける。
 転がりせき込んだ加奈だったが、怯まずナイフをコウの左胸に突きつけた。
 コウが指を少し引くだけで、加奈がナイフを少し押し出すだけで、決着はつく。
 極限に達した睨みあい――彼女は、ふっと唇に笑みをたたえた。
「……お前の戦い方は、あいつと似てるな」
「いつも組み手をしていますから」
「そういう事じゃない、その、自分の命を何とも思ってない戦い方が、だ」
 微動だにしないコウを見て、加奈は喉の奥で笑った。
「この間も最終的にはこう(・・)なった。そうしたらあいつ、『どうしても、って言うなら許してやるぜ』などと抜かしやがった」
「ああ……いかにもあいつの言いそうな台詞です」
「で? あんたはどうする?」
「ボクはセイじゃありませんから。でも……」
 無表情だったコウが初めて口元に笑みを湛え、加奈に問う。
「死にたくなかったら、ナイフを退いてくださいますか?」
「結局同じじゃないか」
 それを聞いた加奈も笑った。



 息を整えて、棘腕輪(スパイクバングル)にワイヤーを収納した。
 加奈も体についた土を払いながら立ちあがったところだった。強い意志を秘めた瞳がコウに向けられている。
「面白い奴らだ、あんた達は」
「キミもですよ、『加奈さん』」
 そう言うと、彼女は可笑しそうに笑った。
「あんたはやっぱり、あいつより少しだけ礼儀正しいよ……少しだけな」
「お褒めにお預かりまして、光栄です」
 肩を竦めると、ガキの癖にイヤミな奴だと文句が返ってきた。
 よく見れば、加奈の全身にはワイヤーに突っ込んだ時の切傷が至る所に刻まれている。
「キミも同じなんですね」
「何がだ?」
 敵の武器が確認できないあの状況で前に進むという判断を下すのは、並の神経ではない。
「自分の命をなんとも思わない戦い方が、ですよ」
 その言葉が彼女の何を抉ったのかは分からないが、加奈は一瞬凍りついた表情を見せた。
「そうだな……だから、あんた達の事が気になるのかもしれない」
 無表情でぽつりと呟いた彼女の心の内は、加奈自身にしか分からない。
 いや、もしかすると本人にも分からないのかもしれない。
 命を賭したやり取りによってのみ埋める事の出来るコウの中の空虚が、自分自身にも理解できないように。
 加奈の視線がコウの紅緋を捕えた。
 互いの中の欠落を確認するかのように。
「ボクも同感ですよ、加奈さん」
 どちらからともなく視線を外し、互いに背を向ける。
 先程まで命のやり取りをしていたのに今こうして背を向けられるのは、加奈が無暗に殺そうという悪意を持つ()ではないから――彼女との邂逅を嬉しそうに報告したセイの気持ちが、少し分かる気がした。

 らしくもなく無益な戦いを挑んでしまったのは、もしかすると加奈の瞳の奥に眠る悲哀と欠落(ノックアウト)が自分を呼んだせいかもしれないけれど。




 またいつかこの場所で出会う気がした。
 中間街(セントラル)――混沌に包まれたこの場所には、様々なパーツを欠いたモノが集まるのだから。

**********


どうですかこの臨場感は。肉弾戦とか、自分なんか適当に書いていたのに、そこは空手家ならではですね。細かい書きこみはさすがです、早村さん!

会話がね、魂を共有した好敵手みたいな、このすがすがしさ。というか、加奈とかぜったいフルボッコだと思ったんですがね笑 ワイヤーとか、絶対避けられらないw

さてお次はどんなカードが……まあ、大体もう決まってますがね。また時間があれば書いてみたいです。そのときはよろしく、早村さん。

パソコン、直さないとな……







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Comment

あああああ - 早村友裕

なんだかほんとに好き勝手してすみませんー><
夜狗ファンの方ごめんさいー!!

最初はショウキさんにしようと思ったんですが、ワイヤーを野生のカン(←?)でよけてもらうために、カナさんにしてみました。カナさんは感覚で戦ってるけど、ショウキさんの方が頭使う戦い方のイメージがあったので。

次こそは相棒さんにご登場願いたいですねw
2009.02.24 Tue 13:41 URL [ Edit ]

ネカフェから米返 - 俊衛門

パソコンがお亡くなりになり候

>早村さん
いやいや、どうもありがとうございます。夜狗のファンがどれだけいるのかわかりませんがw

野生のカンですか~確かに、そんな感じがします。というかもっと野生を前面に押し出せばよかった。
ショウキは、頭使うほど頭よくもないですが、なんとなくコウvsショウキのイメージは膨らみつつありますんで、今度書いてみたいです。

また、ほかの作品のキャラもお借りしたいですね。テラス・コードが読み終わったら、考えてみますか。まあ、それこそテラス・コードのファンに怒られてしまいそうですがw
2009.02.24 Tue 18:22 [ Edit ]
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